>産石(885) (548) いつもは小さな子どもを連れているが、 この時ばかりは姿を潜めているようで1人である。 僅かに緊張した面持ちで息を吸うと、 待つ人の姿を探して見回した。 | |
at 『逢引』 (2021-07-31 23:49:49) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「来たか。」 廃墟の頂きに腰掛けた異形は、あなたの姿を認めて、ふわりと地上へと降り立つ。 「一日以上もこの紅い空の下に居ると、 存外見慣れて来るものだな。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-01 00:55:32)RE |
>産石(885) 葵(548) 「あ」 降りてくる姿を認める。 そちらに向けて歩み寄った。 「タコも見慣れてきた頃だったんだけど、 普通に戻れたんだ……」 頑張ってタコを探していた男。 | |
at 『逢引』 (2021-08-01 20:15:09) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「休めたなら良かった。 僕はどっちも好きだけど…… そのままでお願いします。 一応、その……デートのようなものなので」 ここでデートかあ。 「積もる話はいろいろあるんだけど…… 一先ず、大変だったな、あっち。イバラの方。 ああ、産石の記憶だと、ほとんど事態が 見えないのか……?」 | |
at 『逢引』 (2021-08-01 21:49:03) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうだな。 その事に関しては”産石 みのり”の 記憶からも辿れなんだ。 しかし、結果的には最初の筋書き通り、 ”千代田 零一”を荊の地から逃がす 事が出来てほっとしている。 最初に掛けた願にも関わらず、 随分と時間をかけてしまったからな。 それについては、其方にも手間を掛けた。 改めて礼を言おう。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-01 22:24:17)RE |
>産石(885) 葵(548) 「いや、ほんとは戦争終わったら いくらでもゆっくり過ごせると思ってたんだが…… まあ、これはあとで話すとして…… 千代田さんを逃すってすごい初耳なんだけど。 ……あれ、叔父ってのは嘘じゃなかったっけ? 丸山さんは放置ってことはあの土地の人 全員守護してるわけじゃないよな。 実は血筋的にはそうだったのか」 | |
at 『逢引』 (2021-08-01 23:36:35) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「確かにアレは此方の氏族とは 何の関わりもない。 叔父でないという事も本当だ。 しかしながら、アレの妻が、 此方の護るべき氏族の末裔の一人だった。 産土神とは、その土地に生まれた者を、 生涯、例え土地を離れたとしても 永年守り続けるもの。 まぁ、今回は……、”都合の悪い所に 都合良く居た”から、助けてやっただけだ。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-02 00:02:05)RE |
>産石(885) 葵(548) 「妻。 そこも含むんだね。 まあ確かに、末裔を繋ぐ者としては、そうか」 そう思えば、千代田の家族が狙われたというあの事件に 産石みのりが巻き込まれた理由も自ずと見えてくる。 それこそが、彼女に託された"役目"だったのだろう。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-02 00:37:53) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「……あの。 これはあなたの記憶にないことだと思うんだけど、 僕も"とある人"から託されてしまってね。 "産石みのり"と、 それから……あなたのことを」 | |
at 『逢引』 (2021-08-02 00:39:13) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ほう。 それは余り良くない報せだな。 誰か消えたか。 我々を良く知る者が。」 異形にとって、その二者を繋ぐ者は、この地で出会った者に他ならない。 言葉尻は重く、それを確かめる。 | |
at 『逢引』 (2021-08-02 00:51:28)RE |
>産石(885) 葵(548) 「……うん。 イバラシティで、 産石が誘拐されたあの日の話だ。 でも僕は初対面。 あくまで、あなたをよく知っている人。 名前、きけなかったんだけど 僕の思うとおりなら…… あなたが"ずっと探し続けていた人"で 間違いないと思う」 | |
at 『逢引』 (2021-08-02 02:10:37) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「……、馬鹿な。 そんなはずはない。 アレが向こう側に、しかも荊の地などに 居るはずがない。」 絞り出すようにそう告げる。 | |
at 『逢引』 (2021-08-02 22:30:59)RE |
>産石(885) 葵(548) 「産石にくっついてた憑き物がいたでしょ。 産石のことを仮初めのかみさまとして 求めたあなたの亡骸…… そして、正しく弔われなかった魂の集まり。 その中にいた。 あなたと同じ髪をした女性だ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-03 07:30:53) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「クウがな。 彼女が消える前に、何かかみさまに 伝えたいことはないかってきいたら…… ”ずっと許さないでいてくれて、 ありがとう” ……だって」 | |
at 『逢引』 (2021-08-03 07:41:14) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」 その声色に狂気さえも滲ませて。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-03 22:58:06)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「――はぁあ。 全くお笑いだな。 あれだけ探したものが、 それほど、すぐそこにあったとは。 しかも、千と何年共にして、 返事の一つもしなかった挙句、 主に顔も見せずに去るとはな。 恐らくは”そういう仕掛け”だったの だろうが……、誠、アレらしい事だ。 其方が見たのは、確かに此方を呪った女、 イヨで間違いないだろう。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-03 23:06:26)RE |
>産石(885) 葵(548) 「そうか…… 言伝は、確かに伝えた。 …… 僕はね、その人に"産石みのり"を見守る役目を、 そして同時に……あなたのことも頼まれて もう、後に引けないところまで来たと思ったんだ。 前にも話した……この戦争の末に、 僕らの乖離についてどうするかということ。 どちらかしか残れない。 それはもう認められないから、 覚悟を決めて、会いにきたんだが……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-05 00:18:25) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「やっぱり、おかしいよなあ!」 苛立ちのような、己に言い聞かせるような、歯噛みして。 「あなたは産石を氏族と認めて神霊の座に還る。 僕はこの席をアイツに明け渡す。 行き先がアンジニティになっても あいつらなら乗り越えられるって、 僕はどんな形になっても 必ずあなたのもとに戻るって、 そう誓って来たが…… やっぱり、それじゃあ叶わないんだよ!」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-05 01:02:13) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「僕の願いは―― あなたが擦り減らしてきた時を取り戻すこと。 あなたが終わりを見出せるその時まで、 あなたと人のように寄り添い生きること。 そして、最後は…… 看取り続けてきたあなたを この腕の中で看取ること」 息を荒げ、落ち着けるようにため息をつく。 「……馬鹿みたいだ。 今までみたいに、犠牲と思い出を背負って 生きりゃいいのに。 救いを求めて、あなたに諦めを背負わせて、 全部かけ離れていく。 ましてや——」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-05 01:06:48) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) あぁ。 思い返せば随分と遠い。 霞みがかった世界の中で、子供らの手を引いて行く。 それは夢か幻のように儚く、そして暖かい時間。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-05 23:09:05)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「――だがそれならば、 其方はどうする。 何を以ってそれを勝ち取る。 其方の目指すべき道筋とは、 我々の定めを超え得るものなのか。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-05 23:18:42)RE |
>産石(885) 葵(548) 「勝ち取るための道も、確かなことも何も言えない。 託されたものを反故にもできない。 何も捨てられない、踏み出せない…… どっちつかずなだけだ。 笑ってくれよ」 その声音は力なく。 「なあ産石。 教えてほしい。 実体のない神霊として氏子を見守るっていうのは どんな感覚なんだ。 そこにはどんな景色がある?」 | |
at 『逢引』 (2021-08-07 00:19:47) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうだな。 此方もそれについては長い事 考えていたが……、 いつか其方に語った以上の方策は 思い付かなんだ。 だが――」 言葉を切り、ふと、空を見上げる。 そこには黄昏を思わせる欺瞞の星。 「正直、其方がここへ呼び付けた時、 別れ話でもされるのかと思っていた。 此方らの時間は、”向こう”と比すれば あまりに一瞬だ。 だから――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-07 18:42:23)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「だから……、其方の言葉は、 存外嬉しかった。 願いだけを託して、過ぎて行くものでは ないのだと……。 仮にそれが、 そうはならなかったとしても……、 此方はもう、それで良い。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-07 18:47:30)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「しかし、どんな景色、か。 本来ならば説くのに窮する所だが、 今の我々にはそう難しい事もない。 それはまるで、夢だ。 何もない、白銀の世界から覗き込むような、 微睡みの中に垣間見る夢。 甘い記憶ならそれで良い。 だが、もしそうでないとして、 手を伸ばすとも届かず、為すべきは少なく、 さりとて目を覆う事も出来ず……、 そういうと、 まるでこちらから見る”向こう”のようだな。 此方が其方の言う”人らしく”をなぞったのは、 ほんの始まりの、短い時の中に過ぎなかった。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-07 19:01:23)RE |
>産石(885) 葵(548) 「別れ話なんてとんでもない。 とんでもないと、言いたかった。 選びとる運命がどうであれ、 僕の気持ちだけは…… …………」 そして深く息を吸って、吐く。 込み上げるものを抑え込むように。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-07 22:12:36) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「……かみさまの目は、 思ったよりも近くにあったんだな」 他でもない自らの目が、この世界を通して追想している。 近くて遠い、届きそうで届かないその夢を。 何も知らず、苦悩に足掻き、時に何かを手放しながら、 幸せを掴むのだと思い込んでいる"向こう"の己を思う。 何をできるわけでもなく、ただ願いを掛け、見守るばかり。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-07 22:18:41) DELRE |
>産石(885) (548) 気がつけば、歩み寄るままに手を伸ばしていた。 骨張った輪郭も、それを覆う肉と皮も 人と寸分違わぬよう再現された―― しかし、無機質な冷たさが欺瞞と物語るその手が、 かみさまの手にそっと触れる。 | |
at 『逢引』 (2021-08-07 22:23:22) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「まぁ、こちらに来るよりはまだ、 出来る事も多かったがな。」 少し笑って、呟いた。 その役目すら、今はもう過去へと過ぎ去って、僅かな残滓を残すばかり。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-07 23:44:41)RE |
>葵(548) 産姫(885) あなたの手が触れると、異形もまたその手を差し出した。 いじらしい手遊びのように、指先同士を触れ合わせる。 「少し……、冷たいな。 だが夏の時分には、或いは丁度良い。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-07 23:59:08)RE |
>産石(885) 葵(548) 「それは 冬場は考えないとな。 なんか……あらかじめ、熱したりとか」 冷えたままのそれは 愛おしげに滑らかな指先をなぞる。 そして、浅く絡めて。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-08 16:47:22) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「でも…… 少しだけ、わかったかもしれない。 このハザマと似ているけど、少し違うもの。 かつてあなたが少しでも人の営みをなぞったのは、 つまり神代…… それを人が必要としたからじゃないか? 時代が巡り、人はそれを必要としなくなったから かみさまはただ見守り、 その終わりを受け入れるようなものになった」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-08 16:54:06) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ハザマは閉ざされているから、届かない。 でも、あなたの世界は 閉ざされているわけじゃなくて……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-08 16:55:28) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「僕はやっぱり、"あいつ"に席を譲る。 それがこの閉ざされたハザマで、 唯一伸ばせる手である限りは。 そして、僕が何処へ消えたとすれば、 あなたはいくら時間をかけても 探すと言ってくれた。 その言葉は、本当に嬉しい。 嬉しかったけど……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-08 22:43:00) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「でも、どんなに願っても、 足掻いてもままならない、 そういうことも……あり得るんだ。 だからこれが、約束ではなく、裏切りに…… 呪いに変わってしまうぐらいなら、 諦めて、忘れてほしい。 そういう気持ちもあって……」 その声音は途切れ途切れに、苦しげに。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-08 22:44:17) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「待つ年数を、決めないか。 ……16年。 本来の"銭田葵"が生きた年数だ。 それまでに戻れなければ、 この指輪は夢幻と消えるようにする。 僕という眉唾物は、 はじめから無かったものとして」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-08 22:49:27) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「何だ今の日和り尽くした口上は! 女一人娶るのであれば、 『絶対帰ってきます』とかそういう気概の 一つでも見せられんのか!」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-09 19:58:41)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「――とは言え、其方が此方の境遇を 知った上、気遣ってそう言うのだという事は 分かる。 だが例え、16年という一瞬のような期限が 過ぎ、この指輪が小箱と共に 泡と消えたとしても――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-09 20:03:17)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「其方との思い出は消えない。 例えそれを証明するものがなかったと しても、此方と共に永久(とわ)に 続いて行く。 呪いなどにするものか。」 そう言って、手の中の小箱を軽く握る。 「だからこれは、此方が預かって置こう。 其方の帰りを待ちながら。 それとも、今ここで指に通してくれるのか?」 | |
at 『逢引』 (2021-08-09 20:10:43)RE |
>産石(885) 空(548) 「あ〜もう。 水ささぬようにと思って、離れとったのに。 結局こうなったか」 ひょっこり顔を出す弟。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-09 22:28:59) DELRE |
>産石(885) 空(548) 「でも良かったのう〜にいちゃん。 みのりねえちゃんが怒ってくれる人で。 頼もしいお嫁さんで、わしも安心じゃな〜。 ま、これで懲りたじゃろにいちゃん。 みのりねえちゃんの言葉、 しかと受け止め向き合えよ。 目を背けることは、わしが許さぬ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-09 22:29:49) DELRE |
>産石(885) 空(548) 「しっかし、なんじゃ? その指輪を作った意味すら捻じ曲げて伝えるとか。 まっこと、ひよひよ日和見ひよこさんじゃが? ほれにいちゃん。立って自分で説明せい!」 *げしっ* 葵 「は、はい!」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-09 22:33:31) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「うう…… プロポーズしてこんな フルボッコにされる奴がどこにいるのか…… はい僕ですね……」 よぼよぼ。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-09 22:35:14) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「あの、ごめん……産石。 そして、ありがとう。僕が間違ってたよ。 正直、ここまで言ってもらえて、幸せだ。 もうこうなったら 産石の心に図々しく居座ろうと思う。 帰ってくるまで、ずっと……帰ってきた後も。 指輪は、ここで指に通すよ。 あと、期限消滅の細工はなくすから、 一旦貸してもらっていいかな。 目標は変わらず16年以内(強気)だけど、 そんな細工は……いらないってわかったし」 | |
at 『逢引』 (2021-08-09 22:40:40) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ありがとう」 小箱を大切に受け取れば、 手の中でわずかに青い光を帯びた。 その光もやがてはひいていく。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-10 00:40:55) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ん……意味は、2つあって。 ひとつめは、この刻印……」 小箱を開け、指輪を取り出し裏側を見せる。 そこには刻印が刻まれていた。 『 A to M MY ALL MEMORIES 』 Aは葵、Mはみのりのことだろう。 そしてその後には、葵の全記録と記される。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-10 00:45:57) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「これ、ジャックリスト…… 父さんにもらった兵器ね。 あれの劣化コピー品なんだ。 僕の絵の具で作ったもので、 生命情報の保持機能だけを持たせた―― 僕という記録のバックアップということになる。 万が一、この先…… 僕が"壊れていた"ときの保険。 僕の魂と、これと、あなたの呼び声があれば 僕は、修復できるから」 | |
at 『逢引』 (2021-08-10 00:54:40) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「まぁ出来ないよね。」 それはそれでみたいな顔。 「しかし、”壊れる”と言うと 字面がやや物騒な気もするが、 具体的に言うと異能を使いすぎた 某硝子職人みたいになってしまう 可能性が有るということ……?」 脳内に浮かぶ黄色いヒヨコたち。 | |
at 『逢引』 (2021-08-10 22:55:06)RE |
>産石(885) 葵(548) 「まあ…… 平常で壊れることはそんなにないかな。 オーバーフローするぐらいの怨嗟を 注がれたりとかはちょっと危ないけど。 あとは、クウがな。 この戦争が始まる前、 僕に取り憑くまでの移動で結構な無茶をして 魂までボロボロになったんだと。 そんで、何か知らんうちに 僕の記録を混ぜ込んで修復したらしいんだ。 何か知らんうちに」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-10 23:38:08) DELRE |
>産石(885) 空(548) 「繋ぎやすさと波長の酷似を兼ね備えた魂が 必要だったんじゃ〜許せ。 この戦争が終わって逸れるようなことがあったら、 似たような移動が必要になるかもしれぬわけで。 ……という経験則からの保険じゃ。 とりあえず持っとってくれ。 あと重要なのは こっちの話じゃないじゃろにいちゃん」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-10 23:45:26) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「だが、其方が先達兼、先導として 同行してくれるのであれば 此方としても心強い。 悪いが銭田の事を宜しく頼む。」 それから、仮面の三眼が『それで?』と問うようにあなたの方を向いた。 | |
at 『逢引』 (2021-08-11 00:59:31)RE |
>産石(885) 空(548) 「任されよ〜! わしら一心同体じゃからね!」 兄にくっついた。兄<あに>かわ。 そして、兄が三眼を見つめ返せば そっと離れて背後で見守る姿勢に入る。 弟は最大限に空気を読む。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-11 17:16:11) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ええと。 さっき僕はこれを渡して 結婚を申し込んだわけだけど…… 実はこれ、"婚約指輪"じゃないんだ」 !? (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-11 17:17:06) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「結婚にまつわる指輪には2種類あるんだけど…… 向こうの僕が無駄に調べたブライダル知識。 男が女に結婚を申し込んで、 約束を交わすために渡す指輪が"婚約指輪"。 もうひとつは…… 実際に結婚するときに、 2人で作るのが"結婚指輪"」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-11 17:19:11) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「そんでもって…… 婚約指輪の刻印は約6文字までと決まってるんだ。 一方、結婚指輪は20文字程度まで刻める」 『 A to M MY ALL MEMORIES 』 17文字ある。 「だから…… 帰ってきたら、じゃなくて……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-11 17:31:47) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 今までずっと、黄昏の中を歩いて来た。 袖振る者も少なく、ましてや、 名を問えば皆、過ぎて行った。 遠い遠い、道のりの果て。 だがそれでも。 雲を掃う月輪は、 確かにそこに在ったのだと―― (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-12 01:41:35)RE |
>葵(548) (885) *コロッ……* *ガラガラッ……ガラララッ……* やがてそれは、寂しげな音色を掻き消す程に降り注ぎ、異形の足元に黄金の山を作り出す。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-12 01:49:39)RE |
>産石(885) 葵(548) 「わ、ワ」 突然溢れ出したものに驚きの声をあげたが―― 愛しい人のしおらしい姿を見れば、 それが悪い意味を持つものではないとわかり。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-12 21:38:22) DELRE |
>産石(885) 葵(548) (そういえば……) "向こう"の彼女に想いを伝えた時も、 溢れて零れ出したものがあった。 (きっと……それと同じか) そう思うと一層、胸に込み上げるものがあって。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-12 21:40:17) DELRE |
>葵(548) (885) 一方、拾い上げられた小さな鈴は、綺麗に磨かれた、何の変哲もないものだ。 しかし、強い感受性を持つあなたたちには、そこに強く、特別な感情が宿っている事に気付くだろう。 それは呪いや嘆きではなく、もっと暖かい色をした何か。 | |
at 『逢引』 (2021-08-13 01:14:08)RE |
>産石(885) (548) じっと温もりを感じながら、 ただ幸せな時だけが過ぎていく。 体温を持たない男だが、 次第に冷たさに慣れる程度には馴染んでいくだろう。 ちなみに主成分は絵の具なので 当然ながら絵画っぽい匂いがする。 よく肉屋として火を焚いているので 少し燻された感じもするだろう。 食事もするが、それは不純物としてくるんで 排出するので嫌な匂いはしない、はず。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-13 20:58:33) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「そうだ…… お嫁さんって言ってるのに 産石って呼ぶのはあれか。 みのりって呼んでいい? それとも、呼んでほしい呼び方とかある?」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-13 21:00:36) DELRE |
>産石(885) (548) 綺麗な鈴を眺め、手の中で少し転がす。 かすかに鳴る音からあたたかなものを感じて。 そして…… そっと自らの上着のポケットに忍ばせた。 | |
at 『逢引』 (2021-08-13 21:05:54) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「もっと雄々しい匂いがするかと思った。」 多分褒めている。 「呼び方は……、其方に任せる。 其方が呼ばう名が、 此方を顕す名と成るのだから。 ただ――覚えて置いて欲しいものがある。 それは此方が、『宇迦根山産土姫命』となる前。 一つの命として降り立った者の名。 イヨが去り、もう知る者のないそれは――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-13 21:57:17)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「”孤独”に”聳える”と書いて、 ”聳孤”。 それは、今の此方を顕す名ではない。 だから、そう呼べと言う事もないけれど、 其方にだけは……、知っていて欲しい。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-13 22:03:18)RE |
>産石(885) 葵(548) 「あ。 い……嫌な感じじゃないなら、いいけど。」 見た目を取り繕うだけで、 体温も匂いも人のものとは言い難いために、安堵している。 こちらもさりげなく、 髪に頬を埋めながら肺を満たすなどした。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-14 04:04:24) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ちゃんと、かみさまになる前の 名前があったんだ。 孤独に聳える…… 少し寂しげだけど、凛とした名前。 あなたが生命として授かったものなら、 呼んでみたいけど…… 僕だけが覚えていたいとも思うジレンマ」 独占欲。 「ふたりきりの時だけ呼んじゃおうかな。 聳孤。 ……聳孤」 試しに呼んでみる人。 | |
at 『逢引』 (2021-08-14 04:18:36) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「独りで居る時、これは此方だけのもの だった。 見上げる者は居ても、 寄り添う者のない空の中で。 だが、もう、そうではないというのなら……、 その証としては、まぁ、悪くない。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-14 20:10:12)RE |
>産石(885) 葵(548) 「もしかして、 イヨって人に出会う前はひとりだったの? ……森とか、山育ち?」 そんな感じの匂いがする。 「そういえば、あっちの白昼夢で見た姿も、 あの亡骸も、大きな獣の形だったもんな。 そういうことか……」 どうりでおいしそうだったとは言わなかった。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-14 21:18:42) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうだ。 そうして生まれた頃は、 森を駆ける二尾の大狐だった。 知恵を持つものは他に居らず、 しかし、そうであるからこそ、 哀愁も侘しさも知らなかった。 あの頃が最も自由だったと思う事も あるにはあるが……、 もしか、最も寂しい有り様で あったのかも知れないな。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-14 21:47:17)RE |
>産石(885) 葵(548) 「二尾の大狐…… なんか、もとからかみさまっぽさはあったんだな。 山のヌシみたいな。 それが、人のものではなかったというだけで……」 だからこそ、イヨという人はそのための願いを 抱えてきたのだろう。 きっと、もう寂しさは感じさせまいと その抱擁は強くなる。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-15 00:00:45) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「えっ、今笑った……? 笑ったか、今……!? よりにもよって死角で……? 丁度見えないんだよその位置!」 肩を掴んでがくがくと揺する。 「もう一回! もう一回やって!」 | |
at 『逢引』 (2021-08-15 19:46:47)RE |
>産石(885) 葵(548) 「い……いや…… 聳孤が可愛くて嬉しかっただけで、 ちゃんと笑えてた保証はないよ。 鏡見てないし…… じゃあ、これやってくれたらもう1回できるかも」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-15 21:18:43) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「結婚指輪と言ったからには、もうひとつある。 つまり……聳孤が僕に渡す分ね。 そんで、まだ何も刻印を刻んでいない。 刻めるのは、英数字20文字程度なんだけど…… どうする?」 銭田が用意したものと揃えるなら、 "みのりから葵へ"の部分は残し、 『M to A 英数字16字程度』という感じになる。 | |
at 『逢引』 (2021-08-15 21:27:12) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「あぁ、そうか、そっちもあるのか。 此方の分だけかと思って 何だか寂しく思っていたが、 その必要はなかったらしい。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-15 23:41:53)RE |
>葵(548) 産姫(885) それから少しの間考え込んだ様子で。 「此方が受け取ったものには ”ばっくあっぷ”を遺すと言っていたが、 これにもその手の意図はあるのか?」 そうでなければ、ただの願いでも良いのかも知れないと思いつつ、問う。 | |
at 『逢引』 (2021-08-15 23:56:19)RE |
>産石(885) 葵(548) 「ああ、こっちは何も。 僕自身がジャックリストみたいなものだから 二重に持っておく必要はないというか。 僕の情報しか記録できないしな…… だから、単純に……メッセージとか、願いとか そういうものだと嬉しいよ」 | |
at 『逢引』 (2021-08-16 00:09:05) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ちょ……ちょっと待って? えぇと、 其方のは”まいおーるめもりーず”だから、 名詞……名詞!? うぅん、待っている……待っているもの……。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-16 00:49:40)RE |
>産石(885) 葵(548) 「えっ動詞だと急に攻め攻めじゃん……」 きゅんとしましたね。 「確かに、いつだって迷わないように 僕を照らしてくれるのはあなただけど、 待たせてしまうものとするよりかは…… 攻め攻めな方がいいんでは? 僕もね、僕の思い出の全てを あなたに捧げるわけだし」 重 | |
at 『逢引』 (2021-08-16 22:34:27) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「では、そちらの方にしよう。 再会を誓う文言としてはこれ以上ない。 ないが……………。 文字数大丈夫?」 英語を理解しようという気が全くない民。 | |
at 『逢引』 (2021-08-17 00:15:09)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「いやあるよ。 あるんだけれども……。 他国語を流暢に話す神霊って 正直どう? 水戸黄門が”おっけい!”って 言うようなもんじゃない?」 | |
at 『逢引』 (2021-08-18 00:40:57)RE |
>産石(885) 葵(548) 「まあ…… 時代が固定されてアップデートされないのは 写真撮影を写メと言い続ける感覚かもしれない。 上書き保存がフロッピーディスクで あり続けるように。 でも、もうそろそろ 外国人と結婚して外国籍の氏子とかも いる時代だったりするのでは……?」 ゴッドグローバル社会 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-18 23:27:02) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「それはともかくだよ。 神霊っぽいかとかじゃなくて…… 僕としては、 これは聳孤が作る指輪だから 聳孤に考えてほしいなあっていうか……」 | |
at 『逢引』 (2021-08-18 23:35:20) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 異形はその指輪を受け取ると、それを軽く手のひらの中で握り込んだ。 その周りを蛍のような光が舞い、そして消えて行く。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-22 15:54:02)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「何、ちょっとした”おまじない”だ。 長い旅路を、無事で終われるように。 こういうものを贈ると、 少しは神霊らしく見えるだろう?」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-23 00:08:16)RE |
>産石(885) 葵(548) 「ご利益あるやつだ! こんだけかみさまに愛されてたら勝ち確だよ僕。 見放されるわけないもん」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-23 00:27:38) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「――以前、エンシャクシュとの間で 其方との仲が話題に上った時……、 その事について、酷く揶揄われた事が あった。」 そして、ぽつり、ぽつりと、語り出す。 繋いだ手を、確かめるように取りながら。 「それはきっと、当然の疑問だ。 ともすれば、彼奴でなくとも嗤うだろう。 我々は個にして永遠。 寄り添って生きる要を持たざる者。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-24 01:07:04)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「だが……、手ずから子らを育み、 送り出すうち、此方は壊れてしまった。 神霊としての機能を保ったまま、 誰かのものになりたいと――」 言い掛けて、頭(かぶり)を振る。 「――いや、違うな。 ただ、”見付けて欲しかった”。 永久という時の砂漠から、たった一粒の砂。 機能ではない何か。 そういうものを願い、 それを其方へと託したのだ。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-24 01:20:56)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「此方を”見付けてくれて”、ありがとう。 此れなる御霊は、いつ如何なる時も、 貴方の傍に。」 そして、指輪はするりと通される。 しかし、取った手は、いまだ握ったままだ。 | |
at 『逢引』 (2021-08-24 01:33:59)RE |
>産石(885) (548) 「――……」 愛しい人の言葉を聞き、薬指に輝く指輪を見つめる。 「うん。 きっと僕は、あなたを"見付ける"ために 生き延びてきたんだって……そう思うよ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-24 22:07:20) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ふむ、良し。 これで良い。 これで良いのだが……、 その……、何だ。 西欧式だと、残っているだろう。 まだやる事が。 だから――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-25 01:04:33)RE |
>葵(548) 産姫(885) そして、もう一本の腕があなたのコートの襟首へと伸び、それを掴んだ勢いに乗って、自身の面(おもて)はあなたの眼前へと―― | |
at 『逢引』 (2021-08-25 01:21:26)RE |
>産石(885) (548) 肩が強張ったのも瞬く間のことで、 繋いだ手を強く握り、もう片方は背にまわして。 その一瞬は、如何なる永久よりも永く―― (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-26 04:23:57) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) それから、あなたの顔にしばらくの間、目を止めて。 「……あぁ。 やれば出来るではないか。」 苦笑いではあったものの、ずっと見たかったものが、そこに在った。 | |
at 『逢引』 (2021-08-26 22:46:01)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「まぁ……、良いか。 どの道、これから練習して、 うまく出来るようになるだけの時間は 山のように有るのだから。 ただ、なるたけ感覚を忘れないうちに 戻ってくるようにしてくれ。 でないと前歯なくなるかも。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-28 17:57:54)RE |
>産石(885) 葵(548) 「いやそれは…… それは そうだよ。 だって僕がこうなのは、 その意識がずっと、癖になったからで…… 僕が嬉しそうにすると 父さんが露骨に機嫌悪くなるのが嫌だったし。 小さい頃、絵を描いてるときずっとニヤけてたのを 陽キャに馬鹿にされたのを根に持っている……」 意地で強固な顔面を作り上げた男であったので、 癖で口角を下げないよう意識する必要がある。 精神的余裕が皆無になっても緩む。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-29 00:14:59) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「まあ、これからは笑顔も頑張るけどさ…… 前歯なくなるほどアタックしてくれるなら ある意味本望……」 前歯大崩壊。 「と言いたいところだけど、なくなるのは困るし 早く帰ってこないとね…… ……次会うときは、僕からお返ししようかな。 たぶん、聳孤が背伸びするより 僕が屈む方が安全……かも」 | |
at 『逢引』 (2021-08-29 00:34:31) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「正直ここに来るまでは、 ”不幸を願う心”というのは、 心の奥底では幸福を願いながら、 それでも儘ならない人生の帰結であって、 それそのものを願う者などそう在りはしないだろうと 思っていたのだが……。 もしかして、実はそうでもない感じ? うちの氏子らが優秀なだけ? なんかめっちゃそういう奴らに遭遇 するんだけど……。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-08-29 21:52:25)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「ま、何れにせよ、 此方の主様に轡を掛けようとする愚か者は、 前歯を折り取られても(物理) 文句は言えんだろう。」 小さく微笑みつつ、拳をガッと握る(怖) 「どうしても不意をうちたくて………。 ただ確かに、そうしてくれた方が 色々し易くて助かる。」 | |
at 『逢引』 (2021-08-29 22:17:38)RE |
>産石(885) 葵(548) 「もしかしたら…… 聳孤の教育の賜物かもしれない…… でも、父さんも儘ならない人生ではあったよ。 幸福を受け入れる土壌すら失った人だ。 僕は、それを失わなかったからね。 ほんと、嫁さんが逞しくて頼りになるから……」 怒らせたら大変そうだなあ、ともぼんやりと思いつつ。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-02 01:27:28) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「………… ああ……もう時間か。 約束は、交わしたよ。 僕らの絆は、ずっと……確かなものになる。 戦争の行方はもう、あまり気にしてないけど…… 一度肩入れした陣営だ。 ちょっくら調子乗った武者に喧嘩売ってくる。 めちゃくちゃ個人的な理由で」 今まさに、ひとつ時が進もうとしていた。 「戻ってくるけど。 最後は、一緒にいたいし……」 | |
at 『逢引』 (2021-09-02 01:49:06) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうか……。 ”受け取る気になった”のだな。」 それから、ふと、安心したように微笑んだ。 「其方は向こうで、父親から受け取る 何もかもを拒もうとしていた。 だからそれは、きっとこちらでも 同じ事だろうと思っていたが……。 それならば、良かった。 それは、きっと酷く、寂しい事だと思うから。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-02 21:16:46)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「あぁ。 これで本当に、最後になるだろうから。 心に積んだ重石の分、 思いっ切り暴れてくると良い。」 そうして打ち鳴らす指からは、火打石のような火の花が散る。 「――ご武運を、葵。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-02 21:22:28)RE |
>産石(885) 葵(548) 「あの時諭されてから 内心いろいろ考えてたんだよ僕も。あっちも。 無為と思い続けた年月より、 たったひとつの言葉が僕の世界を広げて―― その無為にすら、 意味を見出せるようになった。 僕は確かに豊かさを 手に入れたと、そう思うよ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-03 21:15:18) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「はっ…… それ……切り火ってやつじゃん。 え、なんかすごく夫婦っぽくて感動しちゃった。 すごい……」 余韻。 「……いや! ここからは気を引き締めて行く。 行くぞ!」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-03 21:27:43) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) それから、勇ましく歩いて行くその背中が、立ち並ぶ墓標のような廃墟の陰へと消えれば、足元にごとりと一枚の銅鏡を残し、異形は風の中へと解けて行った。 | |
at 『逢引』 (2021-09-03 22:05:00)RE |
>葵(548) 産姫(885) あなたが銅鏡を覗き込めば、古びて、しかし曇りなく磨き抜かれたそれは、覗き込むあなたの顔でなく、見覚えのある異形の姿を映し出した。 「もう済んだか。 葵は―― いや、まずそちらに行こう。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-04 22:48:38)RE |
>産石(885) 空(548) 「お」 鏡を覗いて声をあげる。 光の舞に目を輝かせて。 「みのりねえちゃん! おかえりただいま〜」 ひらひらと手を振った。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-04 23:22:45) DELRE |
>産石(885) 空(548) 「それでじゃ。 ……まあ、この闘争の行方の アナウンスは聞いたと思うんじゃが。 ちょっと――」 きょろきょろと周囲を見回す。 いつもくっついているはずの片割れはここにいない。 「……黄昏れとって。 来てほしいんじゃ〜」 理由を察するのは容易いだろう。 | |
at 『逢引』 (2021-09-04 23:28:27) DELRE |
>産石(885) (548) 寂れた小さな空き地。 錆びて折れ曲がったような遊具が埋まるそこは、 かつて公園か何かだったのだろう。 背もたれすらないボロボロのベンチの上に 心なしか小さげな背中が見えた。 | |
at 『逢引』 (2021-09-05 01:29:18) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) そうして、あなたの眼前まで歩み寄れば、そのまま、すとんとあなたの傍に腰を下ろす。 見上げる紅い空の中では、同じく紅い雲が棚引いている。 その様子をぼんやりと眺めながら。 「ようやく行き着いたな。 種々の因果と縁。 その終点に。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-05 15:05:15)RE |
>産石(885) (548) あなたが歩み寄ったとき、 憂いを帯びた眼の中を赤、青、黄…… 様々な色が満たしていた。 あらゆる感情。 この絵の具の性質上、負に偏ったと思しき色は 瞬きを境にまっさらな白と化す。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-05 19:59:24) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ぁ、え」 素っ頓狂な声を。 「びっくりした……聳孤。 クウか。あいつ…… 別に……もうちょっとしたら行くって言ったのに」 見回す頃には弟の姿は見えなくなっている。 その手際の良さにため息をついて。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-05 20:06:52) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ん…… これで、終わった。 ……」 両手を組んで。 「あの」 左薬指の指輪を気にして。 何かを言おうとして―― やめた。 | |
at 『逢引』 (2021-09-05 20:18:11) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ん……?」 異形は急くでもなく、言い淀むあなたを静かに見つめている。 闘いの中では望むべくもなかった、穏やかな時間。 だが今はもう、それを気にする必要はない。 己の迷いが、自ずから形を成すまで、寄り添ったまま、そこに居る。 | |
at 『逢引』 (2021-09-05 22:06:16)RE |
>産石(885) 葵(548) 「……」 しばらく指をむじむじと動かしている。 急かされないのは、 黙ってそこにいるのは、 待っていてくれるのは、 何より心を浮かして。 やがて、組んでいた両手を離した。 「このまま…… 寄りかかってもいいだろうか」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-05 23:53:47) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「おや、随分水臭い事を言う主殿だな。 だが、もちろんだ。 其方の縁(よすが)は、 変わらず此処に在る。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-06 22:16:50)RE |
>産石(885) 葵(548) 「…………」 指先を絡め、甘える。 「僕はもっと、頼れる主人になりたいんだが」 程遠く。 「……今は、負けを受け入れるときなので」 なぜか弁明を始める。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-07 19:10:14) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「我らが級友が、随分と上へと 登り詰めたものだ。 流石は侍の面目躍如、と言った所だろう。 だが――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-07 23:16:48)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「其方はそれと最後まで渡り合った。 強くなったよ、本当に。」 肩に凭れるあなたに、自身も頭を傾けて。 「――憶えているか。 こちらで初めて邂逅した時の事を。 お互い、闘争に興味はないと言い合ったな。 其方は自信の定めた終わりを全うしようとし、 此方は闘争の終点の先だけを見つめて。 そうであった者が、今こうして、 この結末に”寂しさ”を覚えている……。 本当に、世の中、何が起こるか分からないものだ。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-07 23:27:24)RE |
>産石(885) 葵(548) 「……ああ、もちろん……覚えてる。 僕らは帰結こそ始めから決まりきっていたが ああ、こうも…… 気持ちの方が変わっていくなんて」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-08 21:01:56) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「まだ、2日も満たないことのはずなんだけど。 ……やばいな。冷静に」 左薬指の輝きを見つめながら、 噛み締めるように。 「命あれば海月も骨に会う、 とは言ったもので……」 それから少し、息を止めて。 「…………」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-08 21:04:02) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ふ……ふ。 いや、ごめん。 邂逅って言うから、 僕の顔見るなりめっちゃ 吹き出されたの思い出したよ。 しんみりしてたのに」 急に肩を震わせる人。 | |
at 『逢引』 (2021-09-08 21:08:25) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「いや、それは、悪かった……、 けどぉ! そりゃ~びっくりするだろ! 否定の民らしい変異もしてないまま 歳だけ食ってたら…! おまけに話の端々で肉肉と……、 いやそれは今もだな?」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-08 22:41:43)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「ただ……、実を言えば、 初めのうちは多少の悪戯心も有ったしな。 神霊として頼られる事には、 もうまっぴら御免だった。 ただ一つの異形として、 惑う者たちを揶揄ってやれば、 多少は気も晴れるかと思っていた。 だが結局は、また元の鞘へと戻ってしまったな。 それを笑うには、余りに状況が過酷過ぎた。 落涙して蹲り、理不尽へと憤り、 歯を食いしばって運命へと逆巻いて行く。 それらは全て、此方にとっては眩い瞬きの ように見えた……。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-08 23:01:25)RE |
>産石(885) 葵(548) 「なんだかんだ頼られてるときも 嬉しそうだった気がするこの人」 得意げな毛玉を思い出しながら。 「でも、そうなんだよ…… アイにしても、成鐘にしても…… 皆本気で望みに手を伸ばすもんだから、 それを目の当たりにして感化されちまったよね。 皆の願いが叶ってほしいと思ってた。 だからこの結末には 悔いが残るんだけどさ……」 | |
at 『逢引』 (2021-09-11 13:39:15) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ん、そうだったか。 これは、 当時の其方は知る由もない事だが……、 ”愛する者を取って喰った者”が、 ”愛する者に取って喰われる”、 というのは、なかなかに諧謔を解した 因果の妙だと思っていたよ。 ……、いやもちろん、血みどろでないなら 歓迎なのだが。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-11 23:33:29)RE |
>葵(548) 産姫(885) それから、『皆の願いが叶ってほしい』という言葉を聞いて、静かに首肯する。 「あぁ……、本当にそう思う。 御伽草子のような祝着に辿り着けるのだと するならば、崇める神は機械仕掛けでも 構わなかっただろうにな。」 あの質問にどんな意図があったのか、その真実はもう、闇の中へと去ってしまった。 「――だが、それでも。 どんなに高い断崖の中でさえ、 きっとそこで終わりはしない。 機械仕掛けの神など居なくとも、 自らの手でそれを乗り越えて行くだろう。 我らの良く知る、者たちならば。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-12 00:06:24)RE |
>産石(885) 葵(548) 「そんなこと考えてたの? ……狩りも、調理も、食事も、 命との向き合いなんだ。 肉質が悪すぎるとまあ、 文句のひとつやふたつも出ちゃうけど、 いかに食えるものとして導くかを敬意とする。 命を奪いに行くような戦いは、 料理人として臨むことを決めている――」 灼熱に渦巻いていた、紅い空の先を見て。 「そうして本気で向き合うことに 僕は確かに喜びを感じることができるけど 聳孤には、それ以上に…… 僕が命と向き合う時も、隣にいてほしい。 聳孤が何か成そうという時、隣にいたい。 そう思うようになったから、 そんな因果はいらないんだよ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-12 20:22:39) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「でも、隣にいられるようになるのは いつになるか……」 この男も未だ、賭けの最中にいる。 「いや、そこは弱気になるとこじゃないな。 僕も聳孤と同感だよ。 あいつらはきっと乗り越える。 そして、僕もすぐに追いつく。 だから、それまでは頼んだよ。 食べ物とかは、何かと大変だろうし」 | |
at 『逢引』 (2021-09-12 20:38:06) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうか……。 それが其方にとっての”死”との 向き合い方。」 そう呟いて、ふと、小さく笑みを零す。 「思えば、向こうの葵もやたら調理が 達者だったな。 『三つ子の魂百まで』とは良く言った ものだが、恩讐の塗料たる其方も、 同じ起源を持つ者として、誰よりも その根幹たる”人間”を受け継いでいる、 と言えるのかも知れん。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-12 21:22:31)RE |
>葵(548) 産姫(885) それから続く言葉には、悪戯っぽく笑って。 「無論だ。 元々そのつもりだったのだから。 だが余りうかうかしていては、 否定の地に居る我らに先を越されて しまうぞ? 特に寺田が否定の地に堕ちたならば、 成鐘はそれこそ必死で脱出を計画するに 違いな……―― あれ、もしかしてほんとに入れ違いの 可能性ある? 指輪の力とかで何とかなったりしない?」 | |
at 『逢引』 (2021-09-12 21:33:46)RE |
>産石(885) 葵(548) 「でも、"僕"の影法師なせいか、 肉料理にやたらバフがかかってる気はする。 卵が先か鶏が先か……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-12 23:37:20) DELRE |
>産石(885) 葵(548) あなたの"気づき"を耳にすれば、 寄り添っていた頬を離し、上体を起こす。 「ああ。 それに関しては問題ないでしょ。 僕が目指すのは"否定の地"じゃなくて――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-12 23:42:37) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「"あなたの隣"だから」 三つの眼を見据え。 「どこに行っても必ず探し出すって…… 最初に言ってくれたのは聳孤だもの。 僕も同じように、聳孤がどこに言っても…… もし否定の地に入れ違いになっても…… 追いかけるだけだよ」 | |
at 『逢引』 (2021-09-12 23:50:08) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「だが、そうであるなら、 此方も蟠りなく彼方らに協力する事が 出来るな。 主殿の不在の間には、きっと己が鎮守を 以て守り抜いてみせよう。 特に、向こうの我々は、此度の件については 何も知らん事だしな。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-14 22:10:33)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「そう……だね……。」 Happy "RE"birthday in the new world. 「今年と言い去年と言い……、 まずお祓いが必要では?」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-15 23:04:05)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「いや~……、しかし、 つまりはあれか。 『去年は色々あって祝えなかったし、 今年こそはちゃんとお祝いしようね!』 みたいな雰囲気の時に来てしまう訳で……。 流石に気の毒になってくるな。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-15 23:07:52)RE |
>産石(885) 葵(548) 「なんか悲しくなってきた。 でもまあ、あいつらには悪いけど…… ふたり一緒にいてくれる方が 良いっちゃ良いんだよな。 アンジニティではぐれたら大変だし」 | |
at 『逢引』 (2021-09-16 19:43:37) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「確かにそれは言えるかも知れんな。 此方は己が鏡を通い路として 行き来出来るが、 あれと同じ事が氏子にも言えるから、 同じ境に居るのであれば一足で辿り着く。 故に、まとまっていればその分、 向こうの葵もすぐに拾えるだろう。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-16 22:44:26)RE |
>産石(885) 葵(548) 「ああ。 あの骨拾ってくれるためのセーブポイント!」 覚え方。 「クウも同じ空の下ならはぐれはしないし、 案外集めるのはうまくいくかもしれないな。 僕も…… 合流したら、誕生日遅れ祝いに 肉パーティでも開いてやるとしよう。 あっちの僕と対面するのは なんか変な感じだけど」 | |
at 『逢引』 (2021-09-17 23:42:01) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「此方の場合、見目が違い過ぎるが余りに 警戒される以外の心配はなさそうだが、 其方の場合は急に歳の離れた兄が 現れたような、そこはかとなく 微妙な空気が流れそう。 いや、急に弟を名乗る者が現れても うまくやっていけてるみたいだし 問題ないか?」 | |
at 『逢引』 (2021-09-18 13:30:44)RE |
>産石(885) 葵(548) 「あっちの僕もかみさまの話はきいてるしな。 あの時特段助けていただいてない大狐ですって 言えば通るに違いない。 まあ、正体がわかったらわかったで 『何で亡骸置いて行ったんですか!』 とかなんやかんや言われるかもしれないけど……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-18 16:16:43) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「急に現れた歳の離れた兄、 だいぶ冷たくあしらった記憶があるんだけど……」 実話。 「一方、クウは冷たくあしらっても 『わしら兄弟じゃろ?(大嘘)』 みたいな顔で詰め寄ってきて今に至る。 うん、ゴリ押し安定!」 そうかな? | |
at 『逢引』 (2021-09-18 16:22:34) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「確かに助けてもらったというよりは、 此方の行動に端を発する迷惑のみを 掛けている気がする……。」 遠い目。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-18 19:32:16)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「えっ、兄居るの!?」 初耳なかみさま。 「つまりは身内に歳の離れた兄2人と 弟1人(と嫁1人)が増える訳か……。 大家族じゃん。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-18 19:37:01)RE |
>産石(885) 葵(548) 「僕は向こうを通して 聳孤のこと知れたからいいんだけどな〜」 もちもち 「でもイヨさんからかみさま宛に 言伝をもらってるんだから そんなに喧嘩腰じゃないと思いたい。 実のところ、向こうの僕とクウは年明けたら 宇迦根山神社にお参りに行こうかとか 話してたんだよ。 行けないけど」 タイミング。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-18 22:04:23) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「いや、キンイロヒカリゴケの宿主だし危ないしで もうお会いしたくないんだけどね兄さんは。 前にちょっとだけ話した気がする。 播谷って人。 兄さん除いたとしても 父さんもびっくりの大家族だし、 絶対名前ややこしい。 葵〜って呼んだらふたり振り返るじゃん絶対。 みのりもふたり振り返るしクウもふたり振り返る」 | |
at 『逢引』 (2021-09-18 22:15:46) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ああ、そうか。 向こうではイヨに会っている事だし、 面影あるこの身体ならば、 『宇迦根山の元神です』で通じるのか。 こういう時、美術屋の観察眼は 頼りになるな。」 ふんふんと頷き、それで行こうと決めた。 「とすると、此方は否定の地でも イヨの言伝を聞く事になる訳で……、 『もう聞いた』とも言えんし 迫真の演技力が試されそう。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-19 11:16:05)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「ん……? あっ、そうか、確かに聞いたなそれ。 あの時は葵の『伝えたい事』に よほど気が逸れていたっぽい。」 初耳じゃなかった神様。 うっかりに思わず縮む。 「ふむ……、しかし、 確かにそれだともう会えないか。 個人的には銭田と葵で呼び分けようと 思っているのだが、それでもやっぱり 紛らわしいな。 其方の場合は似てるだけで見分けは 付くけれども、 弟の方を見分けるコツを今の内に 教えてもらいたい……。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-19 11:25:53)RE |
>産石(885) 葵(548) 「僕から伝えちまったからなそこ…… 今まで僕らのものとして 流れ込んできてたものが、 これからはそうではなくなる。 乖離を感じて、 俯瞰して見ていた部分もあるけど 少し寂しくもあるんだよな……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-19 21:19:05) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「すぐ呼び出しちゃったからねあの時。 銭田と葵か。 まあ無難なところではある。 僕も産石と産姫で区別すればいいかなぁ」 頑なに"聳孤"呼びはふたりきりと決めている人。 「問題はクウか。 僕も見分けられるか不安になってきた。 一応、違いはある。 まずこっちは僕と同じ絵の具製だ。 あと、周囲に動物とか生き物の 赤ちゃん幽霊が浮いてる。 ここが一番わかりやすいかも。 向こうは純粋に幽霊だ。 父さんの異能のせいで、霊感無い人でも くっきり見える程度に操作されたからね」 | |
at 『逢引』 (2021-09-19 21:44:16) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「あぁ、それは有るな。 今を生きている者の心の流離は、 永い時を経た者のそれとは大きく乖離し、 それだけに瑞々しい感銘を齎す。 これほど多大な影響を此方らに与えたのも、 きっとそれらが有ったためだろう。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-20 00:58:15)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「単体だと其方も良く分からないんだ……。」 *てしてし* 「しかし、確かにそれなら見分けられそう。 ただ、見分けた所で銭田とクウ呼びだと 今度は向こうの葵と被って もう何が何だか。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-20 01:04:29)RE |
>産石(885) 葵(548) 「僕らがしわしわみたいに言う。 確かに高校生のフレッシュさには勝てないし…… 仮にアンジニティでふたり出会ったとしても こうはならなかったんだろうし…… とはいえ何か悔しいので これから楽しいこと たくさんしてやるんだからな」 *つんつん* 「……あとそれ跳ねっ毛じゃなくて手だったんだ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-21 00:53:11) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「鬼門は見分け方より呼び方だな…… もうすでに誰の話してるのか ごっちゃになってるもん。 もう肉屋弟とか美術弟とか 開き直った呼び方するしかなくない?」 | |
at 『逢引』 (2021-09-21 00:58:19) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「其方はともかく、 此方はしわしわを通り越して、 否定の地でほとんど樹木みたいになったまま 寝てたからなぁ。 其方を初めとした否定の民との面識がないのも そのためだが、 もうちょっと頑張ってたら天地返し計画そのものが 始動しなかったのではないかという 反省も――ふっへっは」 くすぐったそう。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-21 20:05:27)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうだぞぅ! 何しろ、これまでの役割を……全部では ないにしろ脱ぎ捨てて、 一個の個体として新生活に漕ぎ出そうと 言うのだ。 知ってはいるけどやってはない事は、 それこそ山の様にあってもう大変だ。」 *ぴょいん* *どろんっ* (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-21 20:07:52)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「確かにそれが一番分かりやすそうだ。 部外者にとっては依然として 何が何だかだろうけれども、 そこはもう『双子です!』で乗り切る しかない。 しかし、出自としては全く異なる道筋を 歩んでいるようだし、 実情としては此方と“産石 みのり”に 近いものがあるだろうか。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-21 20:09:39)RE |
>産石(885) 葵(548) 「御神木じゃん。 気づかず素通りしたり 枝剥ぎとったりしてないとは言い切れない。 じゃあアナウンスで起こされた感じなのか。 あの後はあれよあれよだったからなあ」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-22 22:52:32) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「長らく氏子の生活を見届けてきただけあって、 選択肢はものすごい予感。 ちなみに現状とくにあれがやってみたい! みたいなのってある?」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-23 05:25:44) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「僕は何でも付き合うよ。 そう……なんだか…… ちょっとイケナイことでもいい…… 深夜にポテチと酒……とか」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-23 05:29:02) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「片方の喋り方が古めかしいところも なんか似てる。 まあ、突然現れて人を兄呼ばわりして しれっとしてるし、突然双子みたいになっても しれっとやっていくだろうあいつは」 | |
at 『逢引』 (2021-09-23 05:35:37) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「あぁ、それについては問題ないだろう。 伐ろうとして雷の直撃を受けた覚えが ない限りは。 もちろん、少量過ぎて呪にかからなかった 可能性もあるけれども。」 しれっ。 「なるほど、その後にポテチを摘まんだ手で ”げぇむ”の”こんとろぉらぁ”を 握ったり……――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-24 22:55:21)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「いや、確かにやった事はないけれども、 イケナイことの基準が低すぎない? 良いとこの坊ちゃんか?? 否定の地で長年”ぶぎぃまん”してた割に ”ぎゃっぷ”が有り過ぎるだろ! 弟は弟で、それとは逆に泰然とし過ぎてる感が あるけども!」 | |
at 『逢引』 (2021-09-25 02:54:21)RE |
>産石(885) 葵(548) 「だってブギーマン的なイケナイことはだめじゃん! 否定の地だと子ども捌いて親に食わせて 爆笑してるような爺さんもいたけど そういうイケナイことじゃないでしょ!?」 倫理チェックです。 「じゃあなんだ聳孤。 聳孤はどういうのがいいのさ」 | |
at 『逢引』 (2021-09-25 19:03:13) DELRE |
>葵(548) 初心姫(885) 「まさか、其方に倫理性を指摘される日が 来ようとは……。 いや、それはそれとして……、あるだろ! 一組の男女がやる事と 言えば……(ゴニョゴニョ)」 | |
at 『逢引』 (2021-09-27 21:42:52)RE |
>産石(885) あ〜気化しちゃいます(548) | |
at 『逢引』 (2021-09-29 21:44:54) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ちょっ 直球路線はルール違反だよ聳孤さん! これはイケナイこと大喜利であって 冬にこたつと暖房きかせてアイス食べるとか 翌日気にせずニンニク増し増し料理食べちゃうとか そういう路線で責めるところであって……!」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-29 21:47:06) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「……参りました」 勝手に負けた。 「いや、ええと。夫婦にもなって……とか、 キスまでしといて……とか、あるものの。 奥さんの方からそういうのが出てくるとは 思ってなかったんだけど 興味あるのか。やっぱり……」 元カノとの経験が生かされてなさすぎる。 | |
at 『逢引』 (2021-09-29 21:48:37) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「そもそもこんな豊かな時代が来るとは 思わなかったから、 誰に咎められる訳でもなし、 好きに叶えたら良いと思ってしまって、 うまく考え付かないな……。 でも、“産石 みのり”が減量に取り組んだ末に 食ったらぁめんが、 異様に美味く感じたのは記憶に新しいかも知れない。」 失態をバラして行くスタイル。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-09-30 21:41:59)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「まぁ余りに変化球を投げ過ぎて、 興味がないと勘違いされても困るし……。 子育て“から”は得意なんだけれども。」 | |
at 『逢引』 (2021-09-30 21:44:03)RE |
>産石(885) 葵(548) 「あちらのみのりはそんなことを……」 目に浮かぶような微笑ましさである。 「いいねいいね。そういうのだよそういうの。 骨の髄溶けるまで煮込んだ豚骨スープ。 背脂、とろとろのチャーシュー、 焦がしにんにくの旨みを溶かしに溶かした マー油でコクを加え、 コシのあるストレート麺で絡めていただきたい…… しかし、アンジニティでも調達できるものかな。 とくに小麦まわり」 麺から作る気だ。 「その昔にアンジニティラーメンと称して アメフラシの卵を食わせてきた ジジイの記憶が蘇る」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-02 16:45:33) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「子育て……」 かつて人の歩みをなぞり、送り出した彼女は 文字通り彼らを"育てて"いたのだろう。 一方、銭田の顔はほんの少し曇る。 「興味あるのは、まあ、僕も…… 嬉しいのだけど…… 少し真面目な話をすると 子どもは できないんじゃないかなと 思ってるんだけど」 冷え切った指先を 擦り合わせている。 | |
at 『逢引』 (2021-10-02 17:05:17) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「聞く所に寄れば、狭間でもらぁめんを 出していた者がこちらの陣営に 居たようだし、場合によっては 食べられるのではなかろうか。 自作の場合はかん水とか言う 謎の物質を用意出来るかに全てが 掛かっている気がする。 これを出す異能ってそうそう無くないか?」 ハッピー成鐘デリバリーに賭けるしかない…! 「後、さっきから言ってる暗黒倫理爺さんって 何者?」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-02 21:45:04)RE |
>葵(548) 産姫(885) それから少し曇りがちなあなたの言葉を聞いて。 「あぁ、つまりは”過程”だけ ずっと楽しめると。」 しれっ。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-02 21:51:11)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「なんてな。 まぁそこは気にするな。 さっきも言ったが、 そこから先はもうすっかり、 充分過ぎる程に堪能した。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-02 21:54:00)RE |
>産石(885) 葵(548) 「マジで?さすがはラーメン求道。 期待できる気がする…… かん水は、塩の類だから貴重は貴重なんだけど。 同じ成分を持つものなら代用はできるんだよね。 僕の仕事だと、木灰汁を煮詰めた上澄み液とか。 ガッチガチの乾物を戻して 柔らかさ、弾力を持たせるために使ってる。 つまり、灰塩とかそういうの。 あと、土や鉱石をよく食べる動物や魔物は 体内に塩分を蓄えていることが多い。 そういう獲物から塩を取り出して、 結晶にする技術も教わってはいるんだ。 生きるのに必要な分量の10倍ぐらいの塩分を コンスタントに摂取してきたような動物(意味深) から取り出すのが一番手っ取り早いって 言われてるけどそれはやらないよ、うん」 倫理チェックです。 「そういうのを教えてくれた 暗黒倫理爺が僕の肉屋の師匠ね……」 遠い目。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-03 12:57:24) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「いやでも……その。 その"過程"についてもだ」 まだ表情は曇ったまま。 「これも暗黒倫理爺が調べてくれたことなのだけど。 僕の体って。 負の感情を煮詰めた絵の具だから 基本的に『毒物』なんだ。 皮膚とか表面は乾いてるし、 少し、特殊なコートをしているから、 触れる分には問題ないけど。 でも例えば 口の、中とか…… もっと深い……粘膜とか体液の話になると 直接、絵の具の成分に触れたり、 喰むことになるわけで。 簡単に言えば、呪いの摂取…… 主に精神の汚染、それに伴う肉体の異常。 直ちに死ぬことはないけど、 良くないものを、確認している……」 人の心は人の幸せを求めながら 絵の具はそれでは満たされず、負を求めて相反する。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-03 13:01:13) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) それから沈んだままのあなたの言葉について。 「呪いもしくは苦しみを禊ぐのは、 むしろ神話的に言うと 正しい出産過程なのだが……。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-03 18:31:18)RE |
>葵(548) 産姫(885) そして、改めて、ぼすっ、とあなたに凭れて。 「まぁでも、よしておこうか。 せっかく永く寄り添っていられるのに、 欲を掻いて離れるのはつまらんし。 それに、見た目からつい勘違いしてしまうから、 其方の身体について、知られたのも良かった。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-03 18:36:05)RE |
>産石(885) 葵(548) 「妖怪だったのかな、 あのジジイ。 え。 それは所謂、神々とかが生まれる……???」 少年よ神話になれ。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-03 22:28:42) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ん……」 凭れかかるあなたの肩をそっと抱き寄せて。 「本当に、ごめん。 ……ありがとう。 それでも、寄り添うことを選んでくれて。 僕は……」 声は震え、心は軋んで。 絵の具は満たされる。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-03 22:34:01) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「…… でも、僕だって……欲だけを言えばだよ。 そういうことだって、 したいに決まっているんだ。 だから伝えておくと…… 僕の身体、最初は素手で料理もできなかった。 水や油に浸すと手から絵の具が溶けて 付着したりするから、 "毒入り"にならざるを得なかった。 それじゃ仕事にならないから、 ジジイの協力も借りて、 色ごとの毒濃度と性質が違うことを調べたり、 摂取した食物とかと混ぜ物して減毒層を作ったり、 自然オイルでコートしたり、 肉屋として……人として、 違和感なく生きられる程度に 体の構造を改善したことがある」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-03 22:36:48) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「それでも今の身体は、触れれば触れるほど、 人ではないことを知らしめるようなものだから。 時間はかかるかもだけど、 もう少し……見直してみたいなって そう思うんだよ」 | |
at 『逢引』 (2021-10-03 22:37:54) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「何を謝る事がある? 其方は此方と共に歩むと言った。 そしてそう在ろうとしている。 それだけで充分だ。 たったそれだけで、充分だったのだ。 だから、そう気に病む必要はないし、 余り萎まれてはこちらが困ると 言うものだ。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-04 00:04:06)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「とは言え、 より人間に近付いて行く過程があると すれば、今度はそれも楽しみに して置くとしよう。 人が人らしく在る事より、 ずっと困難を伴うと思われるその道のりは、 しかし、何時しか目的へと近付いて行く。 その時を、ずっと待っているよ。」 それから少し、思いついたように手を叩いて。 「あぁ、そも、其方の毒素が呪いや悪感情を 元にするなら、此方にも視えるはずだし、 ぬらりひょんの代わりも恐らくは務まるはずだ。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-04 00:23:19)RE |
>産石(885) 葵(548) 「……………」 片手を運び、 目元に滲んだ透明な雫を拭う。 ともすれば、あなたは雫と共に 拭われる色無き毒を視るかもしれない。 それだけで充分―― その言葉を聞いてなお許せない人が、 己を咎めて落とした感情。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-04 20:48:06) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ふ……」 それでも、次に浮かべたのは (相変わらず苦笑いっぽいが) ひとつ憑き物が落ちたような顔で。 「どうにも、さっきから…… まだ他人行儀が抜けきらないんだな僕は。 でも、気には、病むよ。 これは男としてのプライドというやつだ。 人の暮らしを辿らせると豪語した以上、 聳孤のわがままだって ききたいんだから……」 これは、そういう "僕のわがまま"なのだと笑って。 「頑張るよ……僕は」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-04 20:51:30) DELRE |
>産石(885) 葵(548) そして、手を叩くあなたに視線を。 「そうなの? 聳孤の目には…… 映るかもしれないのか。 かみさまの力の全貌……まだ見えてないな。 かみさまだもんな…… でも、もしそうなら……」 陽光のような三つの眼を見つめ、 もう一度頬を寄せる。 「手伝ってほしいな。 きっと、うまくいくから」 | |
at 『逢引』 (2021-10-04 20:59:07) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「……そうか。 ならば、その憧憬の先を共に観るとしよう。 気だけはとにかく長い事が幸いして、 案外盆栽を育てるみたいに楽しいかも 知らんし。」 夫を盆栽扱いしてはいけない。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-04 22:03:43)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「ふむ……、 結構意外に思うだろうか。 そんな其方には是非、安井金毘羅宮を 一目見て欲し……――」 言い掛けて。 「いややっぱ駄目だな。 変に当てられて大変な事に成り兼ねん。 まぁともかく、そういったものは 此方ら神霊の扱う所だという事だ。」 それから、あなたが肩を抱くのと反対の手に、自分のそれを重ねて。 「手伝うとも。 夫婦は”健やかなる時も病める時も”、 と言うのだろう?」 | |
at 『逢引』 (2021-10-04 22:15:33)RE |
>産石(885) 葵(548) 「盆栽って、終わりがないし 変化をずっと楽しめると思えば…… 伸び代しかないのでは?」 盆栽扱いが満更でもない夫。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-05 22:41:05) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「あ、噂は聞いたことあるよ。 その神社の…… ……」 特に影響受けやすそうだし 近寄らんどこ……と思うのであった。 「でも、そういうことか。 恩恵を与えるかみさまも一方で、災いし……呪う。 僕を満たす毒も同じ根源だとすれば…… 気を長く、過ごして。 聳孤にも手伝ってもらって。 心から健やかになればいずれ "恩恵"を持つこともあるのかな。 ……かみさまじゃないから無理かな」 重ねられた手を、ぎゅっと握り返す。 | |
at 『逢引』 (2021-10-05 22:46:20) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「狐狸精でさえも千年経てば道士と成り変わる 世の中だ。 そこに人の器まで併せ持つなら、 可能性としては悪くない。 そも、此方自身からして、 神霊化するに当たってのほとんどの積量は、 恨みとかつらみとかそんな感じだし……。 荒みもすれば和みもするのが神霊の在り方 ならば、後はもう、各々が”どう在りたいか”に 委ねられる。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-06 20:45:33)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「ただ、そんな仰々しいものに成らずとも、 良い影響というのはずっと手の届く所に 存在している。 向こうの銭田は冬の折、地上絵を見た時、 ”絵の受取り方は見る者の自由だ”と 言った。 そして、まさしく現実という枠の中に 彩られた肖像たる其方について、 関わった者たちはこれからも自ずから何かを 受け取っていくだろう。 それは、もしか、受取り手の身勝手で、 独りよがりで、見当違いなものであるかも 知れない。 トラック野郎の神として崇められる事さえ あるかも知れない。 だがそれらを混ぜこぜにして、 それでも”良い”と言えるならば、 それは確かに”恩恵”と言え……――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-06 21:16:09)RE |
>産石(885) 葵(548) 「"どう在りたいか"……」 ぽつりと繰り返して。 「聳孤も…… そりゃそうか」 願いの糧となった巫女が残した言葉を思い出し。 「願いの受け皿になどならないと、 荒ぶり、割り切ることもあるいはできた…… けど、ついぞそれをしなかったのは」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-08 20:39:37) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「在り方、なのか……」 ぬくもりに、微かな新緑の香りに身を委ねる。 「……イヨさんもたぶん、 あなたが選ぶ在り方を信じていたんだろうなぁ。 身命を賭して心から託すって、 そうできることじゃないもん。 僕も"向こう側"に託して行くわけだが、 むしろ未練が、席を手放す妬みが僕を 何処へ繋ぎ止めるとすら、期待しているぐらいで。 これは……まあ…… 毒なんだよな」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-08 20:45:24) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「"絵の受け取り方は見る者の自由"としていても、 心の内では、思い通りに受け取ってほしいという 気持ちも抜けきらないんだよね実のところ。 もし、トラック野郎の神でも何でも良いと、 心から思えるようになれば…… トラック野郎の神って何だ……?」 デコトラブーム復活の兆し。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-08 20:55:59) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「へ?」 なんもわかってないみたいなとぼけ声だ。 「あ、え? あっ」 あっ 「そういう…… ……ええと。 絵の具の毒性を変えたいという意味だったけれど。 まあ、未来の"可能性"という意味では…… 両方ということにしておこうか」 | |
at 『逢引』 (2021-10-08 21:05:10) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「こちらとしては、 極めて良い迷惑だったがな。 まぁ、当時と現代にあっては、 命という哲学において比するのも 馬鹿馬鹿しいくらいに差が有るという 事もあるだろう。 そして、その事について現代を軟弱だとする 向きも無い訳ではないが……、 此方としては、それで良かったと思う。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-08 22:30:31)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「それにだ。 仏の焚火に自ら投身する兎のような 心持ちで、あっさり成仏されては こちらが困る。 特段頼みもしないのに何故か既に人型の 特級呪霊に呪われている向こうの銭田には 同情を禁じ得ないけれども、 それはそれとしてきちんと帰って来なさい。」 それから少し興味深そうに、ほほぅ、とあなたの顔を覗き込んで。 「恵比寿の事だな(トラック野郎の神) しかし、思えば初めの頃は徹底して ”肉屋”だった其方も、 滅び行く運命を拒絶してからは”美術屋”の 話にも応じるようになったな。 戦闘の事はともかくとして、 再び絵筆を執ってみようという気に なったと見て良いのだろうか。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-08 22:50:34)RE |
>産石(885) 葵(548) 「迷惑と言いながら、 ずっと役目を果たし続けた聳孤はえらいよ。 えらいえらい……」 肩ぽんぽん。 「成仏なんてできそうにないから平気だよ。 立派な目標ができましたから」 指折り数え、未来に思いを馳せながら。 「ちゃんと聳孤の隣に帰ってきて、 美味しいもの食べたり、一緒に働いたり、 楽しく過ごしたり…… あとは、 体質もどうにか改善して……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-11 02:08:35) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「……何もしてこない盆栽と 思わせないようにしないと」 照れるあなたの耳元でそっと囁く。 散々叩かれてようやくその気になってきた人。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-11 02:13:13) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「ごほん」 その気にはなったけど やっぱり恥ずかしいので 咳払いして話を戻す人。 「……というか。 恵比寿さんのこと そう表現する人初めてだな。 漁業神だから航海する的な? 実はデコトラを司ってたりする? デコトラアートはやったことないけど、 思うままに絵筆をとるぐらいにはなったよ。 さっき空に星を描いたのも僕だし……」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-11 02:15:17) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「僕は、オリジナルの銭田が捨てた "絵描きとしての魂"だからな。 ……こちらが、本来あるべき姿だ。 皆の言葉のおかげで、今はそう思うよ」 赤い空に指を差す。 宙に滑らせれば、 夜明けのような光が描かれ始めた。 | |
at 『逢引』 (2021-10-11 02:20:05) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「あぁ……、そうだな。 向こうに行って、 其方が帰って来る頃には状況も落ち着いていたら、 肉屋を切り盛りしてみるのも良いかも知れない。 ”さもんびぃふ”の波が吹き荒れたら、 肉の代わりに惣菜を売ったりして……――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-11 20:43:49)RE |
>葵(548) 産姫(885) それから、あなたが描き出す赤光を仰ぎ見て。 「そうか……、それは良かった。 死は生の終焉。 しかし、それでも繋がって行く何かが在ると いうならば、 それは決して消えはしないのだと。 そうした願いを統べる此方らにとって、 それほど喜ばしい言葉はない。 然らば、帰って来た暁には、 二人仲良く絵を描き合って――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-11 20:50:42)RE |
>産石(885) 葵(548) 「成鐘にお店作ってもらう約束もしてるからね。 夢が広がるな……」 (可愛すぎて夢が広がるな……) 心の中で拝み倒した。 なお、この煩煩煩悩のために めちゃくちゃ苦労することになるのはまた別の話。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-14 00:21:54) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「もっと言えば、"向こう"の僕は オリジナルの銭田のこと、 ほとんど知らないしな…… でも、"今"に繋ぐという形で あいつの中にも根付いている……」 光の中心に、より濃く色を乗せていく。 描かれていくのは、昇る太陽のようだ。 「"あちらの僕"と、僕自身、 それぞれが道を繋いでいく。 だから、これから仲良く――」 | |
at 『逢引』 (2021-10-14 00:49:40) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「なれる…… 気がしない……」 でしょうね。 「自分と同じ格好のコスプレした おっさんが出てくるんだよ。 向こうの僕の気持ちになってみると まずホラーなんだ」 | |
at 『逢引』 (2021-10-14 00:57:09) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 血生臭い色の空を押し退ける明けの暁天は、 共に戦い、それぞれの道を歩む者たちの行く末を 照らすようで。 その条光へと眼を細め、 此岸と彼岸、 そのそれぞれで築いた情景へと想いを馳せる。 嗚呼。 この暖かい光の元には、 きっと固く閉ざされた地表に在って、 それを突き破るだけの萌芽が芽吹くのだと―― (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-14 20:50:51)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「自分の老け顔を映す鏡みたいな 扱いされそう……。 しかも向こうはどんどん近付いた末、 終いには追い越す訳だし。」 同い年くらいになった時の見分けに対する 一抹の不安。 「そも、必然的に両者の作風が似る上、 記憶と経験の蓄積分、 其方の方が技量に熟達するとしたら、 向こうの銭田は『自分には負けん』と 言うだろうし、 其方は其方で『自分には追い越されん』と 言うだろうし、 否定の地で際限なく異能が強化されて行く 可能性があるな?」 | |
at 『逢引』 (2021-10-14 20:53:00)RE |
>産石(885) (548) ふと、絵画から視線を逸らし、 愛する人の横顔を控えめに覗き込む。 陽光を映す鏡のように、 暖かな色を帯びるその三眼。 再び視線を戻せば、 天を覆う光のフィルタに あとふたつ、光源を付け足した。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-16 01:33:25) DELRE |
>産石(885) (548) 高照らす三の明眸。 "幻日"と呼ばれる吉兆であるが、 永く人の背を見守ってきたあなたならば もしか、本物を見たこともあるかもしれない。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-16 01:48:46) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「あっちの方が老けるのやば……」 ダブルツートンおっさんは圧が強い。 「いや、でもいつかはそうなるんだよなぁ…… そういう意味でも、あいつには限られた命の中で、 思うまま芸術を志してほしいという思いもある。 この乖離がどこまで思考に 影響するかわからないけど ネタ被りしまくるのキツいもん絶対。 今みたいな芸当ができるのは僕だけだし、 箱庭特化絵師になろうかな……」 | |
at 『逢引』 (2021-10-16 02:03:35) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「急にお父さんみたいな事を言う……。 いやしかし、少し先を行く者としての 感情としては、きっとそういうもの なのだろう。 心情的に向こうはめっちゃ嫌がりそうだけども。 現実に映し出す画角の絵。 これは確かに其方にしか――」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-17 22:59:41)RE |
>葵(548) 産姫(885) それから、あなたが描き加えた景色に、思わず感嘆の息が漏れる。 「――おぉ……、 これは、日の暈……? しかし、これほどに鮮明で、 美しいものは初めて見たな……。 これほど美しい天原が、 まだこの世に在るとは……。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-17 23:05:26)RE |
>産石(885) 葵(548) 「なるもん、お父さん。 “あいつ”のではないけど。 まあとりあえず、僕の気持ちは黙っといてよ。 箱庭特化絵師やってても ライバル心を飛ばしてくるのは 間違いない気がするが…… 聳孤と向こうのみのりもいるんだし、 なんか良い感じのところに収まってほしい」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-18 07:21:16) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「お…… 初めて? 聳孤ぐらい長く生きてれば レア系気象もコンプできるかと 思ったらそうでもないんだね。 僕も見たことない、写真でしか」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-18 07:33:18) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「幻日って言うんだってさ。 日の暈がかかるだけじゃなくて、 さらに太陽の左右が光る。 太陽が三つ並ぶ。 ……聳孤の眼みたいだと、思う」 | |
at 『逢引』 (2021-10-18 07:54:49) DELRE |
>産石(885) 葵(548) 「大半寝てる…… アンジニティでも寝てたって言ってたし、 果報は寝て待てをそのまま体現したかの ような生き様だ……」 そして自らが描いた光に目を細めながら。 「そうだなあ……実物なら、 君の方がずっと美しいとシェイクスピア流に 続けてもいいところだけど…… 僕の描く景色なので、 これはあなたの美しさそのままを描いた、 と言い切ろう。 この景色が示すのは 『この先うまくいく』という吉兆だ。 僕があなたとの未来にかける、願い」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-19 21:54:16) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「まぁ、これまで存分に休んだ分、 きびきび働くとしよう。 これからはそうして時間を潰す 暇(いとま)も、 その必要もないのだから。」 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-19 22:45:21)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「あぁ……、そうだな。 例ひこの先、 幾度となく見上げる空の果てに、 今この時と同じ現象を再び目の当たりに したとして……、 それでも尚、今この一瞬、 其方と共に見上げた吉兆の暁を、 追い越す事はないだろう。 此方はそれを、この朝日の昇る限り、 ずっとずっと憶えて居よう。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-19 22:55:32)RE |
>産石(885) 葵(548) 「僕も…… 何度だって胸に抱くよ。 今この手で描いたこの光を…… ふたりで見上げたこの瞬間を。 ずっとずっと この先、ずっとだ……」 暁は煌々と、その胸の中にいつまでも。 あなたの言葉を繰り返し、噛み締めるように。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-20 21:19:08) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 幻想的な情景へと向かっていた三の眼は、 再びあなたへと向いて。 「ふふん、なら良かった。 何しろ、相談事は此方らの専売特許なのだから。」 ちょっぴり得意気に鼻を鳴らす。 「それに、長い出立を前にして、 心の空が曇って躓いてはつまらんからな。 旅の行き先は晴れるに限る。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-21 21:38:12)RE |
>産石(885) 葵(548) 「ほんと、助かる。 実績は成鐘の件でもお墨付きだもん。 つくづく頼もしい嫁さんと一緒で幸せ者です僕は。 必ず迎えに来るって、強気で行くよ僕は。 たくさん、約束したからね」 この真っ赤な空の下にあって、心は晴れ渡り。 左薬指のおまじないは、淡く青い光を帯びて。 「さて…… 精肉所の片付けとか、 残りの絵仕事にも行かないとな…… 似顔絵を描いてやりたい奴がいてね」 後ろ髪を引かれるように、 古びたベンチからゆっくりと腰を上げる。 | |
at 『逢引』 (2021-10-21 22:24:51) DELRE |
>葵(548) 産姫(885) 「ああ、そのつもりで待っている。 “ひととせにひとたび来ます君待てば 宿かす人もあらじとぞ思ふ”、とな。」 異界の空のもと、夫を焦がれる織姫へとなぞらえて、 異形もまた、あなたと共に腰を上げた。 (続) | |
at 『逢引』 (2021-10-22 23:40:53)RE |
>葵(548) 産姫(885) 「そうか。 ならば、心残りのないようにな。 我らが我らに対してそうだったように、 この長いようで短い闘争の中、 其方から互いに影響を受け、 また、其方の描き出すものが救いとなる者も居よう。 然らば、今はその者の元へ行っておやり。」 | |
at 『逢引』 (2021-10-22 23:42:09)RE |
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